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講義名 伝統産業
開講責任部署 花園大学
講義開講時期 前期 講義区分 講義
基準単位数 2 時間 0.00
代表曜日 火曜日 代表時限 2時限
科目ナンバリング

担当教員
職種氏名所属
選択なし◎ 辻 恒人(文)非常勤講師

授業の概要  京都には、国指定の伝統工芸品が17ある。これを含め京都市が74品目、京都府が33品目を独自の伝統工芸品として指定している。
 本講義では、京都の伝統産業を概観しながら、伝統の技を継承しつつ新しい試みで世界的に注目されている染織、工芸、和菓子、装束に携わる職人、芸術家、経営者を教室に招き、具体的な仕事、作業、製品について見て触れ聞く授業を実演をまじえて展開。家元、工芸、社寺、花街と相互に影響し合い独特の文化にまで高められた京都の伝統産業の過去、現在、未来を考察する。 
 また、京都の伝統産業は、ただ伝統の技を受け継ぐだけではなく、日々革新の連続であり、これは、島津製作所、京セラ、任天堂、村田製作所など最先端の企業を輩出する京都独得の産業風土を築き上げたことにも結びついている。講義では、その萌芽となった西陣織、京焼・清水焼、友禅など代表的な伝統産業が取り組んだ明治初年の西欧を模範とした近代化にもスポットをあてる。
 以上の内容による15回の講義で、京都独得の伝統産業の姿とユニークな産業風土について楽しく理解し、就職活動へも活用してもらいたい。
授業計画表
内容
第1回京都の伝統産業概略/講義計画~どんなものを、どんな人が、どんなところでつくっているのか。行政の施策。
全講義の概要説明。(辻)
第2回西陣織の伝統と今日性①~古典のモチーフを先端の技術で表現~ITと手織りのコラボで完成した「源氏物語絵巻」。
(西陣織紫紘代表)
第3回西陣織の伝統と今日性②~西陣から世界の織りを。蚕から始める最上の織り。世界に通用する織りを。ラオスでの試み。
(西陣織紫紘代表)
第4回京都の伝統産業①~染織から映画まで―「不易流行」の京都の伝統産業。古いものが時代とともに進化する不思議な風土…。(辻)
第5回京都の伝統産業②「舎密局(せいみきょく)」の時代~明治初年、京都の伝統産業の近代化を推進~人材育成と欧化勧業政策。ここに古くて新しい伝統産業の秘密がある。(辻)
第6回京都の伝統産業③~京都の近代化で活躍した人物と「お雇い外国人」の役割。レオン・デュリーとG・ワグネルを中心に。
(辻)
第7回新しい和菓子の世界~あんこから現代的なスイーツが生まれる。季節感、銘の大切さ。そのアイデアと実演
(和菓子アーティスト)
第8回京の漆工芸① 京伝統の漆は日本が世界に誇る塗りの技。
(漆工芸作家)
第9回京の漆工芸②~漆の仕事から環境問題も見えてくる。化学塗料とは違うエコがある。
(漆工芸作家)
第10回京都の陶磁器~伝統の粟田焼。ジャポニスムの代表的存在で世界中に知られながら、今は廃れた粟田焼の特徴と歴史、技術。
(粟田焼窯元)
第11回京都の焼き物の歴史~明治の近代化と海外市場進出を中心に。松風(しょうふう)から京セラ、村田製作所。茶碗とセラミックの歴史。
(辻)
第12回京都の染色の現代性と国際性~友禅染と現代染色―京染の魅力。着物から著名ホテルの内装まで手がける。
(染色作家)
第13回京の装束文化~狩衣や十二単、衣装で王朝文化を体験する。日本独特の作法、所作を学ぶ。
(老舗装束司)
第14回京都の木工芸はクール~桶がシャンパンクーラーとなり世界で人気。グローバル感覚で手桶も最新モードの容器に。
(木桶職人)
第15回まとめ~伝統産業と先端産業が共生する京都~世界が注目する文化にまで高まった独特の産業風土
(辻)
授業のテーマ及び到達目標 テーマ:「不易流行の京都伝統のモノづくり」
 千年以上も都であり続けた京都では人、物、技術が集まり、洗練されたモノづくりが行われ続け、それは、家元、伝統芸能、花街などと影響し合い、独特の文化となって京都を特色づけている。経済的スケールでは往時の面影がない伝統産業であるが、和の文化の見直しとともに、現在、その技と継承しつつも日々新しい「不易流行」の精神性が世界から注目されている。本講義では、職人さんを中心に招待講師として招き、現場の雰囲気を感じつつ、テーマを修得する。
 到達目標:京都でしかできない伝統工芸関係者による体験型の講義で、京都の伝統工芸の世界に触れ、伝統と先端が共存する京都独特の産業文化、特徴的な事業所を身近に感じてほしい。
成績評価方法及び留意事項 レポートによって評価する。各講義における受講態度、授業にそった理解ができているかどうかを、レポート評価の判断基準とする。
参考文献 特になし。
テキスト 講義ごとに随時配布する。再配布はしない。
準備学習の内容 国(経済産業省)、京都府、京都市などのホームページから、伝統産業の概要をチェックし、資料、文献等も検索しておくと理解が深まる。伝統産業、伝統工芸、企業ミュージアム見学も有意義。具体的な場所、施設名等は、講義中に紹介する。